電力コラムCOLUMN
日本のエネルギー自給率は6~7パーセントであり、これは先進国の中でも低い数値です。
それでいて「エネルギー消費量」で考えると世界第5位となっています。
「エネルギー自給率が低く、エネルギーは多く消費する」わけですから、海外から大量にエネルギー資源を輸入していると言えます。
ちなみに1965年から現在までに、国内における電力消費量は5.5倍以上にまで跳ね上がっています。
「石油危機」の定義にもよりますが、一般的に「日本は2回石油危機を経験している」と認識されています。
日本は「エネルギー資源における、石油への依存度」が高い国ですから、石油危機は日本のエネルギー事情にとって大ダメージとなり得ます。
石油危機があったことで、日本は「エネルギー資源の多様化」に努めるようになりました。
具体的に言うと、原子力・石炭・天然ガス等を開発して、「エネルギー需給構造」の修正を図ってきたのです。
そのおかげで、「日本の石油依存度」は下がりました。
しかし、実はいまだに「日本の電力は化石燃料に支えられている」と言ってしまえる状態にあります。
第一次石油危機の時期、日本の「化石燃料の輸入依存度」はおよそ75パーセント。
しかし、2010年にはおよそ60パーセントにまでダウンしました。
ですが、2011年に東日本大震災が発生したことで、原子力発電の長期停止を余儀なくされました。そして2014年には化石燃料の輸入依存度が約90パーセントにまで上がってしまいました。
「火力発電への依存度」が上がり、それに伴い2011年→2015年というわずか5年間で、燃料費が約14.2兆円も発生しました。
これは、例えば4人家族なのであれば、「資源国に年間およそ6万円を支払っている」という算出になります。
現在では「日本で作られる電気のうち、火力発電で生み出している割合」がおよそ90パーセントとなっています。
そして、「二酸化炭素がどの程度有害なのか」という部分にはここでは触れませんが、「エネルギー発生のための二酸化炭素発生量」が、2010年→2014年でおよそ20パーセントアップしています。
ですが、日本には豊富な再生可能エネルギーを有しています。
主に太陽、森林、水、風などがそれに該当します。
例えば、
太陽:全体的に見れば日照条件はいい
風力:特に東北や北海道は風力が強い
地熱:火山大国であるため豊富
などいい条件が揃っています。
しかし、日本の再生可能エネルギーはあまり導入が活発化していません。
その要因の一つに「高コストである」という事実があります。
大雑把な表現ではありますが、「他のエネルギーで電気を作るときのコストを1とすると、太陽光なら2程度になる」とされています。
正確な数値を知るには多くのデータを集める必要がありますが、簡単に言えば「電気を作るためにお金がかかりすぎる」ということなのです。
ほとんどの人が
「エネルギー自給率を上げるためにも、環境のためにも『自然の資源』からもっと電気を作るべき」と考えているはずです。
しかし、それを実現するためのハードルは高いという事も私たちは把握しておくべきでしょう。
再生可能エネルギーに「環境に優しい」「エネルギー自給率を上げることができる」というメリットがあることは確かです。
それを受けて2012年の夏頃に「固定価格買取制度」が始まりました。
この制度には、「現状は高コストな再生可能エネルギーを、電気を使う皆で買い支えて、育てていく」という狙いがあります。
実際、この固定価格買取制度が始まって3年で、発電電力量が1.4パーセントから3.2パーセントにまでアップしました。
・エネルギー自給率が高い電力会社を使う
「再生可能エネルギー100パーセント」「国産エネルギー100パーセント」などを掲げる電力会社を選ぶという手があります。
「電力自由化」に伴い、電力会社を好きに選択できるようになりました。
会社ごとに電気料金も異なりますので、そういった視点でも一度見直してみると良いでしょう。
・使う電力量を減らす
直接的にエネルギー自給率を上げることには繋がらないかもしれませんが、もっと広い視点で見れば、そもそも「電気を使いすぎていること」にも問題があります。
まず、エアコン、テレビ、照明器具、冷蔵庫で、「家庭の全消費電力」の5割程度を占めます。節電できそうな部分があれば工夫してみましょう。
また、「給湯部分」で消費する電力も大きいですから、むやみにお湯を出さないようにしたり、「電力消費が少ないタイプの給湯器」に切り替えたりするのもおすすめです。
「給湯器の切り替え工事」は安くはありませんが、これにより光熱費を大幅に下げることができれば、いずれは工事費を回収し、プラスに転じるようになります。