電力コラムCOLUMN
「再生可能エネルギーを使って作った電力」のことをグリーン電力と言います。
例えば、風力発電や太陽光発電によって生み出した電気がこれに該当します。
「環境価値」とは、「環境に関連するメリット(二酸化炭素の削減など)」のことです。
さて、風力発電や太陽光発電と聞くと、「固定価格買取制度」を連想する人が多いはずです。
この制度を利用すると、「環境価値」と「電力」が両方買い取られることになります。
一方、グリーン電力を「自家消費」したとします。
この場合は自分で電力を使いますから、「電力の売却」は当然できません。
すると、そのグリーン電力の「環境価値」に関しては、「ただ存在するだけで、何にも替えることができない」という状態になります。
もちろん、その環境価値を利用して「環境保全に貢献しています」とアピールすることはできます。しかし、全ての事業形態において、その主張が実質的な効果(好感度・知名度の向上、売上増加など)を持つとは限りません。
そこで、「グリーン電力証書」により、環境価値が証書化される事となりました。
グリーン電力証書は、再生可能エネルギーで生み出した電気の「環境価値」を証書にしたものです。
グリーン電力証書によって、グリーン電力が持つ環境価値が「何かに替えることができる状態」となります。
そのグリーン電力証書を買った「第三者(主に企業)」は、「環境保全に貢献しています」とアピールする事などができます。
これにより「社会全体としての、環境への関心度」が上がることとなります。
そして、自然エネルギーが拡大していくことが期待できます。
「グリーン電力発動事業者側のメリット」としては、グリーン電力証書を発行することで、収入を得ることができるという側面があります。
その収入を発電設備の維持・拡大などに充てることが可能です。
また、「グリーン電力証書を買う側のメリット」としては、まず「環境保全に協力している」というアピールをすることができます。
さらに、商品・サービス宣伝時に役立てることも可能ですし、環境報告書に載せることも叶います。
「環境価値を金銭で売買すること」に対して抵抗を抱く方もいるかもしれません。
しかし、実際には「金銭という『形』するからこそ、売買ができて、様々な社会的な効果が望める」とも言えるのです。
「グリーン電力証書を発行し、売った事業者」は、「環境保全に貢献しています」というアピールができなくなります。厳密に言えば全くできなくなるわけではありませんが、説得力は薄れてしまう事でしょう。
そして、「証書の取引価格が変動する」というデメリットもあります。
そのため、予想していた利益が得られず、事業などに支障をきたす恐れもあります。
さらに、グリーン電力証書については、国が何らかの許可・承認をするわけではないため、「法的な拘束力を持たない」という欠点もあります。
ライブイベント用の電力や、工場稼働のため電力としてもグリーン電力が活用されています。
また、以下のような活動も有名です。
中田英寿さんは自身が手掛ける公式サイトである「nakata.net」のサーバー用の電力をグリーン電力で生み出しています。
中田英寿さんが行っている「+1キャンペーン」の一つとして、クリーン電力化が果たされました。
株式会社JTB関東は「CO2ゼロ旅行」を手掛け、販売しています。
森林保護や植林などの二酸化炭素削減活動によって、旅行中に発生する二酸化炭素量を実質的にゼロにしています。
「グリーン電力証書の発行事業者」が、第三認証機関(一般社団法人日本品質保証機構)の認証を受けて、グリーン電力証書を発行します。
グリーン電力証書発行事業者は35団体ほど存在します。
・エネオス株式会社
・神奈川県横浜市
・愛媛県松山市
・大阪ガス株式会社
などです。
全ての事業者を具体的に把握したい場合は、「グリーン電力証書 発行事業者」などで検索してみてください。
ステップ1:グリーン電力証書発行事業者に対して、発行の申し込みを行います。
「発電種別」や「電力量」をグリーン電力証書発行事業者に対して伝えて、契約の申し入れを行います。
ステップ2:各種手続き
グリーン電力発行事業者が、「発電事業者」と「第三者認証機関」との手続きを行ってくれます。
ステップ3:発行
手続きが完了すると、グリーン電力証書が発行されます。
グリーン電力証書には、発行依頼者名、発行事業者名、認証機関名、発行日、発電方法、発電機関、発電量などが記載されていますので、念のため誤りがないかどうか確認しておくべきです。