電力コラムCOLUMN

原子力発電の仕組みと特徴について
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原子力発電の特徴|発電の流れは?

「熱エネルギー」を「ウランの核分裂」によって発生させて、水を温め、上記によってタービンを回して電気を発生させるのが「原子力発電」の発電の流れです。
ちなみに火力発電でも、最終的に熱エネルギーでタービンを回して発電しますので、ある程度似ていると言えるのかもしれません。

原子力発電のメリット

原子力発電のメリットは主に4個存在します。

1:燃料の供給が乱れにくい

先述のとおり「ウラン」によって原子力発電が行われます。
そして、そのウランは政治情勢の安定したエリアにありますので、供給量が乱れにくいとされています。

ちなみに、石油は比較的政治情勢が乱れやすいエリアに存在します。

2:比較的環境に優しい

少しのウランでも長期的に発電することが可能です。
また、使用済み燃料を「燃料としてまた使える部分」と「もう使えない部分」に分けることで、リサイクルすることが叶います。
このようにしてウラン資源を有効活用することを「原子燃料リサイクル」と言います。

こういった「使用済み燃料のうちの、まだ燃料として使える部分」は準日本産エネルギーであると言えます。日本はエネルギー資源が乏しい国ですから、これは非常に大きな利点です。

3:CO2が出にくい

原子力発電に関しても、そもそもの「発電所作り」や、「ウラン燃料作り」においてはCO2が出てしまいます。ですが、核分裂によって電気を生み出すわけですから、「発電中」にはCO2が出ません。
したがって、他の発電タイプよりも「発電量あたりのCO2発生量」が小さいです。
そのため、原子力発電を「地球温暖化防止策の一環」として捉えている人が多いです。

4:発電にかかるコストが少ない

他の発電タイプよりも、「総発電費用のうちの、燃料費の比率」が低いのも魅力です。
そのため、原子力発電の比率が高くなっていけば、電気料金が今よりも安くなると見られています。また、「ウランが高くなっても、発電コストがそれほどアップしない」という利点もあります。

原子力発電のデメリット

そんな原子力発電ですが、いくつかデメリットがある事も忘れてはなりません。

1:比較的リスクが高い

事故などの影響で、原子力発電所から放射性物質が出てしまったとします。

その「量」次第では、原子力発電の近隣だけの汚染で済むかもしれません。
ですが、最悪の場合「日本全体」、もしくは「地球全体」が汚染されるリスクも完全には否定できません。

また、原子力発電所から高濃度の放射線が出ているときは、「原子力発電所の現場に行って、修復作業をする」ということがほぼできなくなります(人体への影響を完全に無視すればできますが現実的ではありません)。
そのため、修復完了までに多大な期間が経過するかもしれません。

それから、原子力発電の場合、冷却作業にたくさんの海水を用います。
そのため海のそばに原子力発電を置くケースが多いのですが、それはつまり「津波のリスクが大きい」という事でもあります。

2:ある意味高コストである

先ほど「原子力発電のコストは少ない」と述べましたが、それは事故などが発生せずに発電し続けられているケースの話です。

ですが、事故が起きるとそれを補填するために「お金(賠償金など)」を大量に消費する事になります。
それから、「放射性廃棄物の処理」や「使用済みウランの管理」等にもかなりのコストを要します。最終的に原子力発電所を廃炉する事になった場合でも、そのための費用は非常に大きくなります。

東日本大震災における「福島第一原発」では実際に事故が起きてしまいました。
ですから、「事故のリスクは無視して良いレベルではない」という意見もあります。

3:技術者が少なくなってきている

原子力発電に精通する専門家の数が少なくなってきているようです。
そのため、将来的には

・それほどのノウハウを持っていない人でも原子力発電に関わらせるしかなくなる
・技術者一人一人にかかる身体的、精神的負担が大きくなる

などのデメリットも発生するかもしれません。

原子力発電に関して常に考え続けることが大事です

近年では「日本から原子力発電を完全になくすべき」という意見も増えてきました。
その主な根拠は「リスクが高いから」という事でしょう。
ですが、原子力発電が日本から消滅したら、「電気が供給されなくなるリスク」も上がってしまいます。現代社会でそのような状況になってしまえば、多くの命が失われるはずです。

だからこそ、安易に「原発ゼロ!」ですとか「このままでいい!」などという思考に飛びつかず、「原子力発電全体を取り巻く環境がどのように変化するのがベストなのか」を考え続けることが大事なのだと思います。

また、政治的要素を含む話題でもあるので、原子力発電に関しては何かと極端な意見が出やすい傾向にあります。
ご自身できちんと調べつつ、「正しい情報・データ」を得るようにしましょう。