電力コラムCOLUMN
【目次】
私たちが生活している中で、自然に発生する電気、それが「雷」です。
急に空が黒くなってきたと思ったら、ゴロゴロと鳴りだして、怖い思いをしたという人も少なくないでしょう。
今回は私たちが知っているようで知らない「雷」についてお伝えします。
雷はみなさんもご存知の通り、とても大きな力を持っている電気です。そのため、テレビや新聞などで落雷による被害を見ていると、停電や火災だけではなく、時には人的な被害も発生しています。
みなさんは、雷の仕組みをご存知ですか?
まず、雲を作っている水蒸気が氷になり、氷どうしがぶつかりあって生じる静電気がたまって雷雲になります。
雲の中で、マイナスの電気は下の方に、プラスの電気は上の方に集まっていきます。下の方に集まったマイナスの電気は、プラス電気をもつ地面に引き寄せられ、電気が流れる。これが雷の仕組みです。
雷の電圧を実際に測定してみると、なんと1億ボルトあるらしいです。1億ボルトと言ってしまうとどれくらいのものなのかピンと来ませんが、家庭用の電気が100ボルトですからその100万倍の大きさなのです。
それだけの大きさを持つ電気が一瞬にして落ちてくるわけですから、被害が大きくなるのも理解できます。
そう考えると雷の電気をうまく活用できないのかと思われるかもしれませんが、光や熱のエネルギーに変わってしまうために、現在の技術では難しいそうです。
雷が落ちると私たちの生活にさまざまな影響が生じます。先ほどもお伝えした通り、大きな電圧が一瞬にして流れてきますから、場合によっては事故や災害に繋がることもあります。
身近な影響といえば「停電」ですね。近年、落雷による停電は少なくなりましたが、雷が落ちた瞬間に、停電が発生したというのは誰しも経験したことがあるでしょう。
各電力会社は停電が起こらないように、落雷によって送電線に強い電流が流れた場合、自動的にその送電線が切り離される仕組みをとっています。切り離しにかかる時間は、ほんの一瞬。わずか0.07~2秒程度とされています。雷が落ちたときに一瞬電気が切れたように感じるのは、この仕組みによるものです。
しかし落雷が発生して注意しなければならないのは、一時的に強い電流が発生し、電線から各家庭に流れ込んでしまうことがある点です。落雷の地域ではなくても、テレビやパソコンなどの電気製品に影響を与えてしまうことがあります。「雷サージ」と呼ばれる現象です。
特に会社や店舗、工場などはこれらの被害を受けやすいので、それぞれで対策が必要となってきます。各家庭においては、雷が鳴ったときにはコンセントを抜くなどして対策しておくといいでしょう。
雷は、時には人的被害も引き起こします。日本では、毎年落雷による人的被害が報告されていますので、注意が必要です。
ひと昔前では「雷注意報」によって注意を呼び掛けていました。現在は気象庁によって「雷ナウキャスト」というサービスを通じて情報が配信されています。
「雷ナウキャスト」とは、最新の落雷の状況を伝えるサービスで、落雷の活動度は1~4に区分されています。
活動度1が最も低い状況で、「雷可能性ありで、1時間以内に落雷の可能性がある」活動度になります。
活動度4が最も高い状況となり、「激しい雷で、落雷が多数発生している」状況にあるという意味です。
もしも外出する地域の活動度が高い場合は、十分な注意が必要です。
また、人的被害報告で一番多いものは、木の下で雨宿りをしていて、その木やそばに落雷するというシチュエーションです。
近くに高い木や電柱があるような場合には、近づかないようにすることが大事です。
また、条件が揃えば平野などの低いところにも雷は落ちます。雷の音が聞こえるような場合には、すぐに建物の中に避難するなど、安全な場所に移動するようにしましょう。鉄筋コンクリートの建物や自動車やバス、電車の中は安全だと考えられています。