電力コラムCOLUMN
みなさんはダヴィンチと聞いてどのようなイメージを持たれるでしょうか。
「イタリアの芸術家」
「モナリザ」
など、ダヴィンチといえばイタリアのルネサンス期の代表的な芸術家として有名なレオナルド・ダヴィンチが思い浮かぶのではないでしょうか。
しかしここでお伝えするダヴィンチは芸術家ではなく、「手術支援ロボット」のダヴィンチです。
正式にはda Vinci Surgical System(ダ・ヴィンチ・サージカルシステム、ダ・ヴィンチ外科手術システム)と呼ばれるもので、内視鏡によって手術を行うロボットです。
全世界ではすでに4500台以上が稼働していて、日本においては約300台が導入されています(2018年3月時点)。
ここでは手術支援ロボット「ダヴィンチ」について、どのように活用されているものなのかお伝えしていきます。
手術支援ロボット「ダヴィンチ」とは、国内においては2000年に初めて導入されたロボットで、2012年に前立腺がんの治療において保険適用になったことから注目されています。
現在では腎臓がんや直腸癌、胃癌などにおいても保険適用で治療を受けることができるようになっており、今後さらに活躍の場が増えると期待されています。
この「ダヴィンチ」ですが、国内ではまだまだ認知度が高いとはいえません。
というのも保険適用が拡大されたのが2018年と最近のことで、ようやく国内での手術実績が増えてきたのです。
しかし世界ではダヴィンチを活用した手術が多くなっており、統計的には36秒に1人が世界のどこかでダヴィンチ手術を受けているそうです。
手術支援ロボットといっても全自動で行うのではなく、トレーニングを積んだ医師がロボットアームを遠隔操作して行います。
ただしこのロボットアームは人間の手よりも複雑な動きができるようになっているので、医師ではできない手術ができるそうです。
また離れた場所からでも遠隔操作によって手術できるので、東京にいる医師が大阪の病院の患者を手術することも可能になります。
手術というとお腹を切り開いて、悪いものを取り除くといったイメージがありませんか?
これらは「開腹手術」と呼ばれており、昔から外科手術では一般的な方法です。
しかしダヴィンチではこの開腹手術をしなくても、癌細胞など身体から除去しなければならないものを取り除くことが可能となっています。
ダヴィンチの手術では身体に数か所、小さく切開し、その切開部からダヴィンチの内視鏡やメスを挿し込んで手術していくのです。
動脈硬化などの手術において「内視鏡手術」が行われますが、原理としては同じようなものだそうです。
ダヴィンチが装備している内視鏡やメスを担当医が操作し、身体にある悪い部分を切除していきます。
しかも人間の手が届かないような場所まで、届くこともできるそうです。
このため、これまで手術できなかったような手術も可能となりました。
ダヴィンチがとらえた体内の映像を見ながら操作するのですが、平面ではなく立体的に見ることができるため、狙った部分のみを切除することができるそうです。
上でもお伝えした通り開腹手術ではないため、患者さんの負担が少なく、回復が早いというメリットあります。
精密な動きにより最小限の傷口で手術を行えるので、身体の機能への負担を減らし、退院までの期間は早くなるそうです。
素晴らしい特徴を持った「ダヴィンチ」ですが、まだまだ課題があるといいます。
保険適用になったのは2012年の前立腺癌で、幅広い癌手術に利用できるようになったのは2018年とまだ最近の話です。
世界ではどんどん活用されている手術支援ロボットですが、利用件数などを見てもまだまだ世界の標準には至っていません。
保険適用となる基準はまだ高い上、特に操作経験が豊富な医師を配置しておかねばならないので、どの病院でもすぐに導入できるようなものではないそうです。
ただダヴィンチでは「遠隔操作」が可能なので、仮に東京の医師が大阪の患者の手術を遠隔操作で行うことができるのです。
この遠隔操作については安定した高速通信ができるようになったために実現可能となり、2019年6月にようやく厚生労働省で了承されました。
遠方にいるレベルの高い医師の手術をお家の近くの病院で受けられるようになります。
今後の医療技術の発展がとても期待できますね。