電力コラムCOLUMN
電力負荷平準化対策とは、「シーズンや時間帯ごとの電力需要の幅」を狭くするための取り組みのことです。
電気は貯めておくことが難しいです。
そのため「電力需要の最大値」が「100」なのだとすると、いつでも発電所を「100」の電力を供給可能な状態にしておかなければなりません。
しかし、「電力需要の最大値」を下げることができれば、発電所の稼働率をダウンさせることが叶いますから、燃料の消費量をカットすることが可能となります。
これによりCO2もカットできますから、経産省は電力負荷平準化対策に尽力しているのです。
電力負荷平準化対策には主に3タイプあります。
夏場の月曜日~金曜日の日中などは電力需要が非常に大きくなります。
こういったタイミングから、土曜日・日曜日・祝日や夜中などの電力需要が比較的小さいタイミングに電力負荷をスライドさせる対策の事を「ピークシフト」と呼びます。
具体的には
・蓄熱を使って「日中使う熱」を夜のうちに作っておく
・事業所の操業のタイミングをずらす
などがこれに該当します。
こちらは単純に「電力需要が非常に大きくなるタイミングにおける電力をカットする対策」を指します。
「節電」の一種であると言えます。
例えば、「冷房の設定温度をアップさせる」こともピークカットの一つですから、できる限り取り組んでみましょう。
「深夜などの消費電力が比較的小さいタイミングで、電気を有効に使うこと」をボトムズと呼びます。近年、「深夜稼働の電気温水器やエコキュートを利用しよう」という動きが強くなってきていますが、これもボトムアップの一部です。
1967年度までは「月別電力消費量」のピークは、12月~翌1月でした。
なぜなら、比較的早いタイミングで日が落ちるため、18時くらいから照明器具などを使う人が多かったからです。
ですが、そこから空調機器(クーラー、エアコン)の利用者が爆発的に増加していき、ピークが7~9月にずれました。
また、時間帯としては18時くらいがピークだったのですが、14~15時くらいの「気温が上がり空調機器を使いたくなる時間帯」に変わりました。
ちなみに北海道については、ピークはいまだに「ウィンターシーズンで日が落ちてから、多くの人が照明器具を使うタイミング」である場合が多いです。
今行われている電力負荷平準化対策は大別して2種類あります。
1:電力負荷平準化を進めるための機材の研究・開発・推進
2:人々に電力負荷平準化を分かってもらうための取り組み
以前は「蓄熱式空調機器」が主流でしたが、最近では「CO2冷媒ヒートポンプ給湯器(主に夜間電力を使います)」や「電力貯蔵用蓄電池」なども作られ、実際に使われるようになっています。そして、これらの機器の利用率を高めるための施策も進められています。
啓発活動、具体的には「普及促進を目的とする講習会」や「電力負荷平準化に関して解説している小冊子の配布」などが進められています。
また、「優れた導入事例を表彰する仕組み」や「マスメディア(広告等)を活かした取り組み」も実践されています。
また、
・電力企業によるリースシステムの取り入れ
・電気料金メニューの種類を増やすこと
・経産省による導入サポート
・税制措置
・普及啓発事業
なども電力負荷平準化対策の一環と言えます。
太陽光発電の場合、発電量が多くなるのはもちろん日中です。
そして、先述のとおり日中は「電力消費量のピーク」ですから、このタイミングで太陽光発電により作った電気を使えばピークカット効果が高くなります。
ただ、冬場は日中以外の時間帯にも電気を多く使いますから、ピークカット効果が下がってしまいます。ですが「蓄電池」を使えば、夕方や朝方等でも太陽光発電で生み出した電力を使うことが叶います。
ちなみに、太陽電池モジュールは「断熱力」を有しています。
そのため、「サマーシーズンの部屋の温度を適温に保ちやすくなると」いう作用が望めます。
これによって、空調機器などによる電力消費量がさらにダウンしますから、よりピークカット効果がアップすると言えます。
ただし、家庭用太陽光発電パネルには色々なデメリットがありますので、それを理解した上で導入しましょう。「ピークカットができるから」という理由だけで取り入れるのはあまりにもリスクが大きいです。
太陽光発電パネルの導入が難しいのであれば、先ほどお伝えした「エアコンの設定温度を上げる」など気軽に実践できる事から取り組んでいきましょう。