電力コラムCOLUMN
今、日本だけではなく国際的にもPCBの仕様を全廃し、適切な処理に向けて動きだしています。
PCBとは、電気に対する絶縁性能が高い化学物質で、人工的に作られている油状のものをいいます。
水に溶けにくく、熱で分解しにくい性質から、さまざまな用途で活用されてきましたが、毒性が高く、健康被害も報告されていることから、わが国では1972年より製造が中止となりました。
現在、全国に処理施設が整備され、PCB廃棄物の期限内処理に向けて取り組まれている状況です。
ここではPCBとは何か、 PCB廃棄物処理の経緯について詳しくお伝えします。
PCBとは「Poly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)」の略称であり、天然物質ではなく、人工的に作られた化学物質で、油状であることが特徴です。
PCBは電気絶縁性が高いことから、変圧器やコンデンサーなどに活用されてきました。
毒性がとても強く、体内に少しずつ蓄積していくことによって、深刻な健康被害をもたらす可能性があることから、 現在では製造が禁止されている物質です。
PCB廃棄物は、どのような特徴がある化学物質なのか説明していきましょう。
PCBは電気絶縁性が高い性質を持っていることから、変圧器やコンデンサー、安定器などを初めとしてさまざまな用途に利用されてきました。
人に対する健康被害や生活環境に対する被害が生じる恐れが高いことから、1972年に製造や輸入が中止され、PCBを適切に処理するために法令を整備し、期限内処理を推進しています。
PCBを利用した変圧器やコンデンサーにおいては、ビルや病院、工場などで活用されてきてたために。昭和52年3月以前に建てられた事業用建物においては、未だに設置されていることや保管されていることがあります。
そのため平成13年6月22日に公布された「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB特別措置法)によって、適正な処理を国が中心となって推進していくことになりました。
現在、全国に5か所の処理施設が整備されており、期限内に確実に処理できるよう取り組みが行われています。
PCB廃棄物を保有する蓋然性の高い事業者に対して「掘り起こし調査」を行うことによって、確認された場合には速やかに交換を推進し処分を行っているのです。
PCBは水に溶けにくく、沸点が高い油状の物質です。そのため熱を与えても分解しにくく、電気絶縁性も高いことから、電気機器をはじめさまざまな用途に活用されてきました。
しかし脂肪に溶けやすいという性質を持っており、慢性的に摂り続けてしまうことで体内に蓄積され、健康被害をもたらすことが分かりました。
実際、昭和43年に行ったカネミ油症事件においては、カネミ倉庫が製造する食用油にPCBが混入されてしまい、その食用油を摂り続けた人々に大きな被害をもたらしました。
摂取した人のなかには、現在も後遺症に悩まされている人もおられ、社会に対しても大きな衝撃を与えることとなったのです。
その経緯から国際的にも関心を集めることとなりました。
世界においてはPCBをまったく使用していない地域においても汚染が確認されており、ストックホルム条約(POPs条約)において2025年までに使用の全廃、2028年までに適正な処分を求められています。
わが国ではこの条約を2002年に締結しており、取り組みが推進されています。
PCB特別措置法によって、平成28年7月を期限とする処理がスタートしました。全国5カ所(北九州、豊田、東京、大阪、北海道のジェスコ)に拠点的広域処理施設を整備して、エリアごとに処理が行われてきたのです。
ただ対象とされていた電気機器以外からもPCBが検出され、PCB廃棄物の絶対量が増えてしまいました。
そのため期限を延長するためにPCB特別措置法が改正され、処分期間内に廃棄、処分することが義務づけられたのです。
廃PCB等、廃変圧器、廃コンデンサー等については、ジェスコ大阪にて処分期間は2021年3月末日まで、計画的処理完了期限は2022年3月31日まで、ジェスコ豊田・東京・北海道において処分期間は2022年3月末日まで、計画的処理完了期限は2023年3月31日までとなっています。
またその他のPCB廃棄物についても、ジェスコ北九州にて処分期間は2021年3月末日まで、計画的処理完了期限は2022年3月31日まで、ジェスコ北海道において処分期間は2023年3月末日まで、計画的処理完了期限は2024年3月31日までとなっています。