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火力発電の仕組み・メリットやデメリット
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火力発電とは?ネオ・コーポレーション電力コラム

 

火力発電の仕組み

ボイラーを使って、天然ガス・石油・石炭などの燃料を燃焼させ、その際に発生する熱を使って水を温めます。
沸騰した湯から出る蒸気を使い、発電機と接続したタービンを回転させて発電します。
タービンを回転させた蒸気は、冷却され再度水になり、ボイラーに戻っていきます。

これが火力発電の仕組みです。
「火力」という言葉からは想像がつきにくいかもしれませんが、「水」も大量に必要です。そのため、ほとんどの大型火力発電所は海のそばにあります。

 

火力発電のタイプ


・コンバインドサイクル発電
・ガスタービン発電
・内燃発電
・汽力発電

の4タイプがあります。

日本の火力発電のメインとなっているのは汽力発電であり、ボイラー等で蒸気を起こし、それによってタービンを回して電気を作っています。
ちなみに、地熱発電や原子力発電などの仕組みもこれに近いです。

また、ディーゼルエンジン等の内燃機関で発電するタイプのことを「内燃発電」と言います。
発電にかかる時間が短いため、携行用電源や非常用電源などとしても活用されています。

ガスタービン発電では、「水蒸気」を用いず、「燃焼ガス」でタービンを回転させます。

そして、蒸気タービンとガスタービンを混合した発電タイプのことを「コンバインドサイクル発電」と言います。

 

火力発電の主なメリット

1:発電所を作りやすい

火力発電を設置する際に発生する制約はあまりないため、都市部そのものは難しいとしても「都市部のそば」であれば設置することが可能です。

ちなみに、国が火力発電所の設置を完全に管理しているわけではありませんから、鉄道会社や製薬会社なども独自に火力発電所を設置しています。

2:発電効率に優れている

「一定量の燃料からどれだけ電気を発生させることができるか」という指標のことを「発電効率」と言います。
火力発電は他の多くの発電形式よりも発電効率に優れています。

3:発電力に安定性がある

火力発電で必要となるのは、本質的には「水」と「燃料」です。
水と燃料が枯渇しない限りは、安定的に発電を行うことが可能です。

例えば「風力発電」や「太陽光発電」は天気の影響を受けます。
また、水力発電に関しては、降雨量が下がってダムの水が極度に少なくなれば発電が不可能になる場合もあります。
それに比べると、火力発電の安定性の高さは大きなメリットであると言えるでしょう。

4:事故が発生しても被害が広がりにくい

火力発電には、仕組み的に考えて「事故が発生しても、被害が広がりにくい」というメリットがあります。
例えば、チェルノブイリ原発事故や福島原発事故では被害が拡散しましたし、「被害が収束するまでの期間」も非常に長くなります。

もちろん事故が起きてはいけませんが、火力発電であれば致命的な被害が起きる可能性は低いです。

5:発電量をコントロール可能

火力発電における「発電量」はコントロールすることが可能です。
「発電需要が高くなれば発電量を多く、発電需要が低くなれば発電量を少なくする」というように調整すれば、エネルギーの無駄を減らすことができます。

 

火力発電の主なデメリット

続いて火力発電の主なデメリットを挙げていきます。
もちろん、「デメリットがあるから火力発電はやめましょう」と言いたいわけではありません。
デメリットを把握し、上手に火力発電と付き合っていくことこそが重要です。

1:化石燃料(石油、石炭)を使う

火力発電を行うためには、石油や石炭などの化石燃料が必要です。
率直に言って多くの方にとって想像しにくいことだと思いますが、永遠にこれらの資源が尽きないという事はあり得ません。

しかも、福島原発事故を機に「火力発電への依存率」が上がっていますから、以前よりも化石燃料の消費量がアップしていると見られています。

2:環境への影響

火力発電を行うと、どうしても二酸化炭素や窒素酸化物などの有害物質を発生させてしまいます。
それでも近年排出量は減りつつありますが、再生可能エネルギー(太陽光エネルギー等)よりは圧倒的に発生量が多いです。

また、「古い火力発電所ほど、排出ガス量が多い」という傾向もあります。

3:発電所を点検している余裕がない

先ほどもお伝えした通り、火力発電への依存度が上がっています。
つまりは、「多くの火力発電所がフルに発電している」ということであり、これは「発電を止めてきちんと点検するだけの余裕がない(可能性がある)」という事を意味しています。

大規模な火力発電所が故障などの影響でストップしてしまえば、深刻な停電被害が発生する恐れがあります。

4:燃料を輸入で確保している

火力発電のための石油・石炭などのほとんどを、国外からの輸入で確保しています。
そのため、産油国の情勢が乱れれば石油を十分に取得できなくなったり、石油の価格が高騰したりする可能性があります。