電力コラムCOLUMN
産業革命があってからというもの、世界のエネルギー消費量は上がり続けています。
2014年の世界のエネルギー消費量を基準に考えると、2040年には130パーセント程度にまで上がると予想されています。
ちなみに、1965年~1995年ではおよそ2倍となっています。
工業化が進み、人口も多くなっています。
人口増加に関してですが、2017年の段階でおよそ74.3億人となっています。
一昔前までは「60億人時代」などとも言われていましたが、あっという間に70億人を突破しました。
この先も世界の人口は多くなり続け、2100年には108.5億人程度になるものと見られています。
人口が増えれば、当然エネルギー需要も増えます。
無限ではないエネルギー資源をどのように活用していくのかを、真剣に検討しなければなりません。
私たちは化石燃料(天然ガス、石炭、石油など)をあと何年使い続けることができるのでしょうか。
一般的には天然ガスと石油が半世紀ほど、ウランと石炭が1世紀ほどであるとされています。
ただ、ある程度の年齢の人の中には「私が子どもの頃も、あと40~50年と言っていた気がする」と感じた方もいるかと思います。
これについてですが、どちらが間違っているということではありません。
「これからも石油採掘技術が上がっていくであろうこと」、
つまり「この先、現在の想定よりも多くの石油が採掘できるようになるかもしれないということ」を考慮するかどうかの差でしかありません。
極端に言えば、石油採掘技術が劇的に上がれば、急に「あと500年は石油が使える」という状況に変化してもおかしくありません。
そして、エネルギー事情には「政治的思惑」も大きく関わってきます。
ですから、「石油はあと30年で確実になくなる!」ですとか、その反対の「どうせ本当に石油が尽きるなどということはない!」などの論説に振り回されないようにする必要があります。
「本当の情報」「間違った情報」「未確定の情報」をご自身できちんと区別し、その上で何ができるのか・何をすべきかを考えていかなければなりません。
さて、これまで「世界規模のオイルショック」が二回発生しています。
「情勢が不安定な中東エリアに石油が偏って存在していること」が、オイルショックが発生する主な原因であると言えます。
ですが、日本の一時エネルギー資源のおよそ50パーセントは石油です。
そして、そのうちのおよそ80パーセントを中東エリアに依存しています。
原油の値段は市場経済の働きにより、常に変化し続けています。
「原油のニーズ」に供給が追い付かなければ値段がアップしますし、その反対の状況になれば値段がダウンします。
このように「需要と供給の関係性」により石油の値段が変わることになります。
「不便だから石油の値段は一律にしましょう」というわけにはいきません。
あくまで「中東などが売ってくれている」のです。
原油価格が急激に落ちたのが1986年頃。
そして、1990年代あたりではあまり大きく変動せず比較的安定していました。
しかし近年
・新興国であるインドや中国における石油のニーズが大きくなった
・主な産油国である中東エリアの不安定な政治状況
・「短期的な値段の変化」に注目した投資家(投資金)の大量介入
により原油の値段は再び乱れてきています。
「日本は不安定な石油に強く依存している」ということを強く認識しておくべきでしょう。
「どのような比率で電気を生み出しているか」ということを電源構成と言います。
分かりやすく言えば、「我が国の電源構成は火力2割、風力3割、水力5割です」というイメージです(実際にこのような国はないはずですが)。
例えば、カナダは水資源が豊かですから、水力発電が全体の60パーセントくらいとなっています。
アメリカや中国は化石資源(天然ガス、石炭など)が多いので、火力発電が60~70パーセント程度となっています。
フランスはエネルギー自給率をアップさせるための政策を固め、原子力発電を活発化し、全体の80パーセント程度を原子力発電が占める状況を作り出しました。
また、ヨーロッパは「陸続きである」という地の利を活かし、電力網をつなげて「どこかの国の電気が足りなくなったら、別の国が供給する」という仕組みを成立させています。
つまり、「国家」という枠組みにこだわらずに、電源構成を作り上げているということです。
以上のように、「国ごとの性質・特徴が活きるような電源構成を追及すること」も、これからエネルギーというものと付き合っていく中で、重要なことになると言えるでしょう。
例えば、日本であれば「安全性を考慮しつつ原子力発電を再稼働させる」「水・太陽光・風力などの自然エネルギーをさらに普及させる」などの選択肢がありそうです。